新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。

生まれ育って今も住む石脇地区にずっと昔から「裸参り」というお祭りがあります。
正月気分も醒めた極寒の1月中旬に、褌一丁で山の上の新山神社に何か?を奉納する儀式です。
そこに住む人間が、何か?とはけしからんと承知しておりますが思い出せません。
神社まで行き着くまですべて登りで、しかも途中に2百数十段と百数十段の二つ合わせて4百段以上の石段があります。二つ目の階段を登りきったら神社です。
それぞれの町内の井戸水で身体を禊ぎ、若者は一升瓶片手に走り始めます。酒が好きだからではなく暖をとるための一升瓶です。でも殆どが好きな人です。暖をとる術のない小中高の子達は顔と体中を真っ赤にしてすごく頑張ります。
昔から裸参りに出て、風邪を引いた人はいないと言われていますが、果たしてそうでしょうか?
あるお医者さんが言うに、風邪はどうかわからないが酒で腹をやられた患者はいっぱい来るとの話でした。
とても良い祭りです。見るだけの人間が話すのもなんですが、雪が降れば降るほど祭りの良さはもっと増します。

そんな素晴らしい雪国行事ですが、地元の人の参加は年々少なくなっております。逆によそからの参加が多くなり外人の参加も目立ちます。私を含め地元の人は自分達が生まれ育った環境や周りの良さに気付かずにいるのかもしれません。もしかしたら、外からの人たちは好奇心や興味によってもっと凄い付加価値や潜在する魅力に気付いたり、発見するのかもしれません。
会社も同じ事が言え、身近にいる社員の持つ能力や可能性に無関心のまま気付かずにいるのではないかと心配になります。

池田は、この土地で出来る事は何か?ここに住む人たちの役に立てることは何か?の自問を繰り返しながら、大事なものは守り大きく根を張っていく覚悟です。そのためにはせっかく出会えた社員の能力と可能性と人間性を育める企業となる事が大前提であります。そのことを肝に命じ、本年も取り組んでゆく所存です。

今年の裸参りには数人の社員が出るそうです。
そんな時、社長は家を暖かくして参加社員の無事を祈り、帰りを待ちます。

流行りにのらなくてもいい、困った時に頭に浮かび、そしてとても暖かく頼もしい会社。
奥でキラリと光る「いぶし銀のような会社」、英語で言ったら「スモークシルバー・カンパニー」。
そんな会社になりたいと願います。

本年もよろしくお願い申し上げます。

株式会社池田薬局
代表取締役社長 池田 晃司